.\" %FreeBSD: src/lib/libc/sys/ptrace.2,v 1.12.2.12 2001/12/14 18:34:01 ru Exp % .\" %NetBSD: ptrace.2,v 1.2 1995/02/27 12:35:37 cgd Exp $ .\" .\" This file is in the public domain. .\" $FreeBSD$ .Dd January 20, 1996 .Dt PTRACE 2 .Os .Sh 名称 .Nm ptrace .Nd プロセスのトレースとデバッグ .Sh ライブラリ .Lb libc .Sh 書式 .In sys/types.h .In sys/ptrace.h .Ft int .Fn ptrace "int request" "pid_t pid" "caddr_t addr" "int data" .Sh 解説 .Fn ptrace はトレースとデバッグの機能を提供します。これによって 1 つのプロセス .\".Em tracing (トレース するプロセス) が 他のプロセス .\".Em traced (トレース されるプロセス) を制御できます。 ほとんどの場合、トレースされるプロセスは正常に実行されます。 ただし、トレースされるプロセスはシグナル .Xr ( sigaction 2 を参照) を受信すると停止します。トレースするプロセスは、 .Xr wait 2 または .Dv SIGCHLD シグナルによってこれを検知し、停止されたプロセスの状態を調査して、 それを終了させるか、または適切な形で実行を継続させます。 .Fn ptrace は、これらすべてを制御するメカニズムです。 .Pp .Fa request 引数は、どの操作を実行するかを指定します。 残りの引数の意味は操作によって異なります。 後述する 1 つの特殊なケースを除いて、 .Fn ptrace 呼び出しはすべてトレースするプロセスによって行われ、 .Fa pid 引数はトレースされるプロセスのプロセス ID を指定します。 .Fa request は次のものにできます。 .Bl -tag -width 12n .It Dv PT_TRACE_ME この要求は、トレースされるプロセスが使用する唯一の要求です。 この要求は、 プロセスがその親によってトレースされることを宣言します。 他の引数はすべて無視され ます (親プロセスが子プロセスをトレースしない場合は、 かなり混乱した結果になります。 トレースされるプロセスが停止すると、このプロセスは、 .Fn ptrace によってしか実行を継続できません)。プロセスがこの要求を使用し、 .Xr execve 2 またはそれに組み込まれているルーチン (たとえば、 .Xr execv 3 ) を呼び出した場合、 そのプロセスは新しいイメージの最初の命令を実行する前に停止します。 また、実行される実行可能モジュールの setuid または setgid ビットは無視されます。 .It Dv PT_READ_I , Dv PT_READ_D これらの要求は、トレースされるプロセスのアドレス空間から 1 つの .Vt int データを読み取ります。従来、 .Fn ptrace は命令とデータについて区別されたアドレス空間のある マシンを許容していました。これが 2 つの要求がある理由です。概念的には、 .Dv PT_READ_I が命令空間から読み取り、 .Dv PT_READ_D がデータ空間から読み取ります。現在の .Fx システムでは、これらの 2 つの要求は完全に同一です。 .Fa addr 引数が、読み取りが行われる (トレースされるプロセスの仮想アドレス空間内の) アドレスを指定します。 このアドレスはどのような境界調整制約も満たす必要はありません。 読み取られた値は .Eo \& .Fn ptrace .Ec からの戻り値として 返されます。 .It Dv PT_WRITE_I , Dv PT_WRITE_D これらの要求は .Dv PT_READ_I および .Dv PT_READ_D と同様ですが、読み取るのではなく 書き込むところが異なります。 .Fa data 引数で書き込まれる値を指定します。 .It Dv PT_CONTINUE トレースされるプロセスは実行を継続します。 .Fa addr は、実行が再開される場所 (プログラムカウンタの新しい値)、 または実行が停止されたところで再開されることを示す .Po Vt caddr_t Pc Ns 1 を指定します。 .Fa data には、トレースされるプロセスが実行を再開するときに受信するシグナル番号、 またはシグナルを送信しない場合には 0 を指定します。 .It Dv PT_STEP トレースされるプロセスは 1 命令ずつステップ実行されます。 .Fa addr には .Po Vt caddr_t Pc Ns 1 を渡す必要があります。 .Fa data フィールドは使用されません。 .It Dv PT_KILL トレースされるプロセスは、あたかも .Dv SIGKILL を配信シグナルとして .Dv PT_CONTINUE が使用されたかのように、終了します。 .It Dv PT_ATTACH この要求は、他の無関係なプロセスの制御を取得し、 そのトレースを開始します。 トレースされるプロセスからの協力は必要としません。このケースでは、 .Fa pid にトレースされるプロセスのプロセス ID を指定し、 他の 2 つの引数は無視されます。 この要求では、ターゲットプロセスがトレースする プロセスと同じ実 UID を持つこと、 それが setuid または setgid された実行可能モジュールでないこと が要求されます (トレースするプロセスが root として実行されている 場合、これらの制約は適用されません)。 トレースするプロセスは、新たにトレースされるプロセスを停止させ、 あたかも最初からずっとトレースしていたかのように制御できます。 .It Dv PT_DETACH この要求は PT_CONTINUE と類似していますが、実行を継続する別の場所を 指定できないこと、 および要求が成功した後、トレースされていたプロセスはもはや トレースされず、通常どおり実行を継続することが異なります。 .El .Pp さらにマシンに固有の要求が存在することがあります。i386 では、これらは次のとおりです。 .Bl -tag -width 12n .It Dv PT_GETREGS この要求は、トレースされるプロセスのマシンレジスタを、 .Fa addr が指す .Do .Vt "struct reg" .Dc .Pf ( Aq Pa machine/reg.h 内に定義されています) 内に読み取ります。 .It Dv PT_SETREGS この要求は .Dv PT_GETREGS の逆です。 .Fa addr が指す .Do .Vt "struct reg" .Dc .Pf ( Aq Pa machine/reg.h 内に定義されています) からトレースされるプロセスのマシンレジスタをロードします。 .It Dv PT_GETFPREGS この要求はトレースされるプロセスの浮動小数点レジスタを .Fa addr が指す .Do .Vt "struct fpreg" .Dc .Pf ( Aq Pa machine/reg.h に定義されています) に読み取ります。 .It Dv PT_SETFPREGS この要求は .Dv PT_GETFPREGS の反対です。 .Fa addr が指す .Dq Li "struct fpreg" .Pf ( Aq Pa machine/reg.h 内に定義されています) からトレースされるプロセスの浮動小数点レジスタをロードします。 .It Dv PT_GETDBREGS この要求はトレースされるプロセスのデバッグレジスタを .Fa addr が指す .Do .Vt "struct dbreg" .Dc .Pf ( Aq Pa machine/reg.h 内に定義されています) に読み取ります。 .It Dv PT_SETDBREGS この要求は .Dv PT_GETDBREGS の反対です。 .Fa addr の指す .Do .Vt "struct dbreg" .Dc .Pf ( Aq Pa machine/reg.h 内に定義されています) からトレースされるプロセスのデバッグレジスタにロードします。 .El .Sh 戻り値 いくつかの要求で .Fn ptrace はエラー以外の場合にも .Li -1 を返します。 曖昧さをなくすためには、呼び出しの前に .Va errno を 0 に設定し、後でチェックします。 .Sh エラー .Fn ptrace 関数は次の場合に処理に失敗します。 .Bl -tag -width Er .It Bq Er ESRCH .Bl -bullet -compact .It 指定されたプロセス ID を持つプロセスが存在しません。 .El .It Bq Er EINVAL .Bl -bullet -compact .It プロセスが自分自身に対して .Dv PT_ATTACH を使おうとしました。 .It .Fa request が正しい要求の 1 つではありませんでした。 .It .Dv PT_CONTINUE へのシグナル番号 .Fa ( data ) が 0 でないか、または正しいシグナル番号ではありませんでした。 .It .Dv PT_GETREGS , .Dv PT_SETREGS , .Dv PT_GETFPREGS , .Dv PT_SETFPREGS , .Dv PT_GETDBREGS または .Dv PT_SETDBREGS が、有効なレジスタセットを設定せずに使用されました (これが真になるのは、通常、システムプロセスについてのみです)。 .El .It Bq Er EBUSY .Bl -bullet -compact .It .Dv PT_ATTACH が既にトレース中のプロセスについて使用されました。 .It 要求をしているプロセス以外のプロセスによって、トレースされるプロセスを 操作しようとする要求が試みられました。 .It 要求 .Dv ( PT_ATTACH 以外の) が停止されていないプロセスを指定しました。 .El .It Bq Er EPERM .Bl -bullet -compact .It 要求 .Dv ( PT_ATTACH 以外の) が、まったくトレースされていないプロセスを操作しようとしました。 .It 前述の .Dv PT_ATTACH で説明した条件を満たさないプロセスについて .Dv PT_ATTACH を使おうとしました。 .El .El .Sh 関連項目 .Xr execve 2 , .Xr sigaction 2 , .Xr wait 2 , .Xr execv 3 , .Xr i386_clr_watch 3 , .Xr i386_set_watch 3 .Sh 歴史 .Fn ptrace 関数は .At v7 で登場しました。